2009-11-08

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とフェマーラ

今周期、本当はホルモン移植周期の予定だったのに、プラノバール服用後に血栓ができてしまったため、途中で打ち切り、D1の受診で自然移植周期を目指すことに方針転換しました。
自然移植周期とはいえ、ほうっておいたらいつまでも排卵しないため、D1から3日間フェマーラを処方されました。昨夜ぐらいから時々左の下腹がチクチクするので無事卵胞が育ちはじめているのかしら?と期待しています。

タイミングを試していた頃からフェマーラを処方されていたので、途中で打ち切った時も含めると今回で5回目の処方ですが、初めて処方された時、あれこれ検索しました。
フェマーラって何?どうして効くの?って感じで、あれこれ見て回ると、まあ日本ではあまり一般的ではないものの、海外では排卵誘発剤として比較的よくつかわれているらしいという感じでした。分かったような分からないようなながらもなんとなく納得して処方通り飲んでいます。

クロミフェン周期に入り、フェマーラとはお別れしたのかと思いきや、再度の処方でまたお付き合いが始まりました。そこでちょっと調べてみました。

※以下、私は医師ではありませんし、要約のいくつかをざっと見ただけなので、あくまで素人の参考情報としてご覧ください。正しい結果を知る必要がある方は、原典にあたってください。


PubMedというページでは、医学論文のアブストラクト(要約)を誰でも無料で見ることができます。
フェマーラの薬剤名である"Letrozole" と排卵誘発"ovulation induction"を入れて検索すると85本の論文がありました。いずれも新しいものが多く、一番古い論文で2001年、この半分以上がここ3年の間に出た論文でした。ということは、新しい治療法として広まり始めたものってことですね、たぶん。

フェマーラは商品名なので、一般名としては「レトロゾール」と呼ばれていて、アロマターゼという酵素の働きを抑える「アロマターゼ阻害剤」という薬の一つです。そのため、この85本の中には、レトロゾールのみを取り上げたものと、そのほかのアロマターゼ阻害剤全般を扱ったもの、がん患者さんなどを対象にしたものも含まれています。
下記の論文の要約に示されている範囲では、効く仕組みとしてこうまとめられていました。


Requena A, Herrero J, Landeras J, Navarro E, Neyro JL, Salvador C, Tur R, Callejo J, Checa MA, Farré M, Espinós JJ, Fábregues F, Graña-Barcia M. (2008) Use of letrozole in assisted reproduction: a systematic review and meta-analysis. Hum Reprod Update. 14(6):571-82.
「アロマターゼ阻害剤は、エストロゲンの生成を抑えることにより排卵を促す。すなわち、エストロゲンの状態により、GnRH(ゴナドトルピン放出ホルモン)の放出と、下垂体のFSHの合成を増加させる。」

新しいものをいくつか見たところ、大まかには多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人に対して使用されていた例が多くて、効果はあるという結果のようです。ただ、多くの論文で、最終的な結論を出すには更なるデータが必要、という締めくくりになっています。

今年出た”PCOSに対するアロマターゼ阻害剤の使用について”というレビュー論文(それまでに出ている複数の論文の結果をまとめた論文)では、要約の結論としては次のように書かれています。

Eckmann KR, Kockler DR.(2009) Aromatase inhibitors for ovulation and pregnancy in polycystic ovary syndrome. Ann Pharmacother. 43(7):1338-46. .
「PCOSの不妊に対して、アロマターゼ阻害剤が常に推奨される治療であると決定するためには、さらにアロマターゼ阻害剤とクロミフェンとの比較試験を行う必要がある。しかし、次のような場合、すなわち、クロミフェンが効かない人、もしくは十分にリスクと効果についての議論を経たのちに、クロミフェン、ゴナドトロピン(LHとFSHのこと)、GnHR療法に向かない場合にはアロマターゼ阻害剤は考慮されてよいだろう。」

そのほか、レトロゾールに黄体ホルモンの補充と組み合わせる方法の検討、5日投与グループと10日投与グループの検討など、どのような組み合わせで処方すると効果があるか、というようなものもありました。ただ、これらもケース数が少ないので、もっと大きな臨床試験の積み上げがないと「これがいい」という方法は出ないのでしょうね。

 Montville CP, Khabbaz M, Aubuchon M, Williams DB, Thomas MA.(2009)  Luteal support with intravaginal progesterone increases clinical pregnancy rates in women with polycystic ovary syndrome using letrozole for ovulation induction. Fertil Steril. 2009 Jun 8. [Epub ahead of print]

Badawy A, Mosbah A, Tharwat A, Eid M. (2008) Extended letrozole therapy for ovulation induction in clomiphene-resistant women with polycystic ovary syndrome: a novel protocol. Fertil Steril. 92(1):236-9.


さて、日本では・・と探しながら著者の所属先を見たのですが、この85本のうち日本からの論文はたぶんゼロ。アメリカ、カナダ、スペイン、ベルギー、デンマーク、スイス、メキシコ、ペルー、トルコ、エジプト、イラン、中国、韓国、タイ、等々・・・とありますが、Japanはありませんでした。

PCOS自体、欧米に多いタイプと日本で多いタイプは違う、ということを夢クリでも言われました。欧米では、肥満やインシュリン抵抗性の高い人が多いが、日本ではそういう場合は少ない、と。
自ら志願してインシュリン抵抗性を調べてもらった時にも、院長先生には「日本人ではまず、出ないね。欧米人には多いけど。」と言われました。日本産婦人科学会でも、PCOSを欧米とは違う形に定義を見なおしています。

となるとですよ、日本人のタイプでどのような治療がいいのか、やっぱりちゃんと調べてほしいなと思います。ちゃんとした臨床試験を組んでやってくれたら、私も進んで参加するのになあ・・・。
(あ、でも、いまから準備の始まる臨床試験に間に合うほどいつまでも治療をしてたいわけではなく、それまでに卒業したいですけど)


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