2009-09-19

お金もさることながら・・・

今日は採卵後1週間の通院日&凍結確認の日。そわそわして朝早くから起きちゃいました。
治療を始めたころからぼんやりと思っていたことをつらつらと。

このごろの報道で、不妊治療への配慮がないという形で指摘され、ちゃんと不妊治療の人にも目を向けていますよ、という話が織り交ぜられることが多い民主党の子育て支援。見ていると、不妊治療に高額な費用がかかること、治療は大変で心身に負担がかかることぐらいは触れられるものの、治療の不確かさについての話題はほとんどありません。

わたしはお金もさることながら、どんな人にどの治療法が効くのか、きちんとデータを蓄積し、治療法の確立する仕組みを支援してほしいなあと思っています。

今のところ、治療法がうまくいっても、いかなくても、患者側の「個人差」として片付けられてしまいます。保険適用にならないのも、「不確かな治療」を保険で賄うことはできない、という理屈が大きく関連しています。

がんなどの治療では、ある状態の患者さんに最適な治療法がなんであるのか、データを蓄積することで「行き当たりばったりのオレ流」を減らすための努力が続けられています。十分ではないけれど、それでも政策として進められています。

不妊治療については、毎年全国では何万人もの人が治療している現状であっても、データが全体で蓄積されることがないので、「当院の治療成績」という小さなデータしかできません。だから「○○クリニックの方針は」「××クリニックでは」というのが当然で、患者側はそれらの方針をネットで調べてそれに賭けるしかありません。

医療である限り個人差があるのは当然で、100%というものは永遠にできないことは仕方がありません。でも、一定のデータが蓄積されていけば、ある条件をもっている患者さんにとって成功の確率の高い方法はコレ、というのが今よりは確実に選ぶことは可能になるはずなのに。そのための方向に向かう気配もないのが残念です。

確かに高額の治療費の一部でも助成してもらえる制度で治療ができる人が増えるのであればいいことだと思います。でも、仮に10万円、15万円の補助があっても、残りの20万円~40万円は自分で準備しなければならないことには変わりありません。2回補助してもらって、自分で50万準備するより、補助はなくても1回で成功する方が結局は経済的にも助かるのでは??と思ってしまいます。

個々の努力ではできないことをやるのが政策。だとすると、個人にお金を支援することもまた必要ではあるし、環境をつくるまでには時間がかかるので、現在できることとして補助金があることにはもちろん賛成ですが、政策的に進められなければ実現しない体制づくりにこそ目を向けてほしいと思っています。

ついでに、補助金については、現在の方法では残りの数十万円を自分で準備できない人には道が閉ざされているので、15万円を複数回よりは、30万円を1回、の方がよいのではないかと思っています。
高度生殖医療に関しては、「自己負担がないと制度が不要な人にも乱用される」、というよくある心配は不要だと思います。不妊治療をする人も、だれしも可能ならば自然妊娠を望んでいて、その望みがもてないことがわかるからこそ意を決して踏み切るのですから。


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4 件のコメント:

  1. 興味深く記事を拝見させていただきました。

    「誰しも自然妊娠を望んでいる為、制度の乱用はない」という意見はよく分かります。

    でも、でも、いつでも安い不妊治療で妊娠できるわ、と思えば30代前半の既婚者達も安易に「もう少し2人の時間を楽しみたいわ」と出産を先延ばしする傾向は出てしまうのではないか?と思います。

    不妊治療してる人たちは、「避妊を止めたらすぐ出来ると思ってた」と意見してる方々が多いですよね。そういう誤解とそれでも出来ないなら不妊治療でも自己負担はちょっとだし・・・とはならないでしょうか?

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  2. >コメントをくださった方へ

    たしかに「いつでも安い治療で簡単に」という安易な考え方をさせないようなすることは重要ですよね。

    年齢とともに妊娠が難しくなること、自覚症状が全くない人(生理がとっても正確、とか)でも不妊の場合はあるし、治療だって本当に大変だし、すべての人がうまくいくわけではない、というようなことがきちんと世の中全体に伝えられていかなければいけないと思います。

    また、財源は限られているわけだから、際限なく支援を、っていうのはあり得ないと思っています。限られたものにどう優先順位をつけるか、という話だと思うのですが、今の方法だと、経済的な点が本当のネックになっている人を、実際には支援できていないのではないかしら、というのが私の疑問です。

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  3. こちらにもコメントさせていただきます。
    以前にブログにちらっと書いたことがあるんですが、海外在住の友人の国では初回は無料で治療を受けられるそうです(年齢制限はあり)。一般には初回が一番成功率が高いといわれているので、それはいいアイディアかもと思いました。ただ、夢クリでは2回目、3回目と成績が良くなっている方もたくさん見るので、一概に初回が一番とは言えないとは思うのですが。でも、治療を1度でも受けるチャンスは与えられることにはなりますものね。
    あと、夢クリでも体外受精の費用そのものだけでなく、日々の内診、注射にもかなりの費用がかかります。妊婦検診も過去2回→5回→14回と補助が増えたのだから、保険適用の回数くらい増やすとか部分的にでも考えてもらえたらなあと思います。

    夢クリの説明会でも言われてましたが、不妊治療は千差万別の世界らしいですね。ぴょんたさんのおっしゃるようにもっとデータをもっと共有して、率の向上を測る努力をしてもらえるといいですよね。

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  4. >edoさん

    初回は無料にしている国もあるとは知りませんでした。そういう運用の仕方もあるってことですね。
    また、日々の血液検査とか、エコーとか、保険適用の範囲を広げてほしい、に同感です。

    夢クリはとても多くの患者さんが来るところで、1つのクリニックとしてはとても充実したデータの中から最善の方法を考えてくれるのだろうと思っています。地方出身の私は、今東京に住んでいなかったら、たぶん、こんな治療はできていないだろうなあと思います。

    もちろん遠くから通院されている方もいらっしゃいますが、多くの人にとっては時間的、体力的、経済的な面でそれは難しいし、実際にされている人だってものすごく大変な思いをされているはず。近くの病院で、できるだけ質の高い治療が受けられるようになる日がきてほしい、と思います。

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